工学・理学

すべての航空機に水素電動エンジンを搭載し、真のゼロエミッション飛行を実現する。

ZeroAvia

水素電動航空エンジンの開発

空を飛ぶには、大量の燃料を燃やすしかない。電動化しようにも、バッテリーは重すぎて飛行機には載せられない。だから航空業界の脱炭素は「最も難しい」とされ、燃料を少し置き換える程度しか手がないと思われてきた。

バッテリーで飛ばすことを諦め、水素を選んだ。水素はバッテリーの100倍のエネルギー密度を持ち、燃やさず燃料電池で電気に変える。「電動化=バッテリー」という前提を外したことで、商用機を飛ばせる道が開けた。

ZeroAvia(ゼロアヴィア)は、2017年に創業された、水素電動の航空エンジンを開発する企業です。イギリスとアメリカに拠点を置いています。 航空業界は、CO2の大きな排出源です。しかし電動化には、決定的な壁がありました。バッテリーが重すぎるのです。 車なら、多少重くても走れます。しかし飛行機は、重ければ飛べません。最高性能のリチウムイオン電池でも、エネルギー密度が足りない。旅客や貨物を積んで、意味のある距離を飛ぶことは、バッテリーでは不可能でした。 ZeroAviaが選んだのは、水素です。 水素は、最高のリチウムイオン電池と比べて、100倍のエネルギー密度を持ちます。仕組みはこうです。機体に水素を積む。燃料電池が水素を電気に変える。その電気でモーターを回し、プロペラを回す。燃焼を伴わないため、二酸化炭素も、それ以外の環境負荷物質も出ません。出るのは水だけです。 しかも部品が少ないため、整備コストも下がります。同社は、現在のジェット燃料機より最大50%安く運航できると試算しています。 2020年9月、6人乗り機を水素燃料電池で飛ばすことに成功。世界初の商用規模の水素電動飛行でした。この時のパワートレインは、現在スミソニアン航空宇宙博物館に展示されています。 ただし、道のりは険しいままです。2026年5月、創業者が退任しました。人員削減、認証目標の遅延、資金調達の圧力——技術的な進歩を「認証された航空機部品」に変えることは、実験機を飛ばすこととは別次元の難しさなのです。

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