工学

組積造建築物の地震犠牲者をゼロにする。

株式会社Aster

組積造建築物の耐震補強

レンガや石を積み上げただけの「組積造」の建物は世界人口の6割が暮らす身近な建材だが、地震に弱く、耐震性を高めるには大規模な建て替えや複雑な補強工事が必要というのが、これまでの防災の常識だった。特に発展途上国では、その費用や技術者不足から対策が進まないままだった。

建て替えや大掛かりな工事をする代わりに、塗料を塗るだけで組積造の壁に耐震性を持たせる方法に置き換えた。特別な技術者や高額な費用がなくても、既存の建物をそのまま強くできる仕組みをつくった。

株式会社Asterは、レンガや石を積み上げてつくる「組積造」と呼ばれる建築物を対象に、塗るだけで耐震性を高められる補強塗料「Aster Power Coating」を開発する企業である。対象となるのは、組積造の建物が数多く残るフィリピンなどの発展途上国や、歴史的建造物の多いヨーロッパの国々で、耐震補強のための予算や技術者が不足している地域を中心に事業を展開している。 Aster Power Coatingは弾力性のある水性の樹脂塗料で、レンガやブロックを積んだ壁にローラーで塗るだけで、地震の揺れによる崩壊を防ぐ効果を持つ。茨城県つくば市の防災科学技術研究所で行われた振動台実験では、フィリピンの建築基準に沿わずに作られた壁でも、塗料を塗ったものは阪神・淡路大震災級の揺れに耐えることが確認されている。 同社はフィリピンの公立学校の校舎をはじめ、地震で子どもたちが犠牲になる恐れのある建物への導入を進めており、JICA(国際協力機構)と連携した案件化調査や、クラウドファンディングを活用したインドネシアの小学校への導入なども行っている。建て替えの何分の一かの費用で耐震化ができる点を強みに、世界の地震多発地域への普及を目指している。

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