歩行を測るウェアラブルセンサー
歩き方や体の動き(歩容)の異常は、医療現場では医師や理学療法士が目で見て評価したり、高額で大がかりな専用の動作解析ラボでしか正確に測定できないとされてきた。そのため、日常の診療や研究の場で気軽に「動きの質」を数値化することは難しかった。
大学の研究室で15年以上かけて培われてきた歩行解析の技術を、指先サイズの小型センサーとアルゴリズムに落とし込み、どこでも装着できるウェアラブル機器として実用化。高額な動作解析ラボに匹敵する精度を、日常の診療や研究、スポーツの現場に持ち出せるようにした。
Gait Up(現在はPhysilogというブランド名で展開)は、スイス・ローザンヌを拠点に、ウェアラブルセンサーを使った動作解析プラットフォームを開発するスタートアップである。手のひらに乗るサイズの慣性センサー「Physilog」を体に装着することで、歩行速度やバランス、左右の対称性といった「動きの質」を数値データとして記録する。 対象となる分野は、大学や研究機関向けの学術研究、病院やクリニックでの臨床評価、アスリート向けのスポーツ科学の3つに大きく分かれる。パーキンソン病や脳性麻痺、整形外科手術後のリハビリテーションなど、歩行に関わる様々な疾患・症状の評価に利用されている。 同社の技術は、高額で大がかりな床反力計や光学式モーションキャプチャーを備えた専用ラボと比べて、はるかに手軽に導入できることが特徴だ。研究者や医療従事者は、患者やアスリートの自然な動きを、日常に近い環境で測定できる。 これまでに30を超える国の研究機関や医療機関で導入され、500本以上の科学論文で技術の妥当性が検証されている。2017年には脳神経科学分野のスタートアップMindMazeの傘下に入り、脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患のリハビリテーション事業とも連携しながら、動作データを活用した診断・評価技術の開発を続けている。
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