AIによる新薬の設計エンジンの開発
新しい薬を見つけるには、実験室でひたすら化合物を合成し、効果や副作用を一つひとつ確かめていく地道な作業が欠かせないとされてきた。候補となる化合物を絞り込むだけでも何年もかかる、時間のかかる作業だと考えられている。
Isomorphic Labsは逆に、タンパク質の立体構造を予測するAIモデルの成果をもとに、薬になりうる分子の設計そのものをコンピューターの中で行う。実験室での試行錯誤の多くをデジタル空間に置き換えることで、新薬候補を見つけるまでの時間を大幅に縮めようとしている。
Isomorphic Labsは、イギリス・ロンドンを拠点に、人工知能を使って新しい薬の候補分子を設計する企業である。Google DeepMindからスピンアウトする形で設立され、タンパク質の立体構造を高い精度で予測するAIモデル「アルファフォールド」の技術的な蓄積を土台にしている。 従来の創薬では、化合物を実際に合成し、実験室での試行錯誤を重ねながら、効果や安全性を一つひとつ確かめていく必要があった。Isomorphic Labsは、生体分子どうしの立体的な組み合わさり方や相互作用をコンピューターの中で予測する複数のAIモデルを組み合わせることで、薬になりうる分子の設計をデジタル空間で進められるようにしている。低分子の薬だけでなく、より複雑なタンパク質医薬品の設計にも同じ仕組みを応用している。 同社は、ノバルティスやイーライリリー、ジョンソン・エンド・ジョンソンといった大手製薬会社と提携し、特定の病気に対する薬の共同開発を進めているほか、自社独自に、がんや免疫関連の病気を対象とした薬の候補も開発している。これまでに開発した薬の候補を実際に人での臨床試験に進める計画を掲げており、コンピューターの中で設計した薬が実際の患者に届くところまでを見据えている。
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