工学・理学

排ガスのCO2を、産業の原料に戻す

Helix Carbon

製鉄の高炉では、コークスを燃やしてできる一酸化炭素が鉄鉱石から酸素を奪い、その過程で大量のCO2が出る。約2兆ドル規模とされる鉄鋼産業にとって、高炉は脱炭素の最難関だ。

重工業の脱炭素といえば、高炉のような既存設備を新しい製法に置き換えるか、出てきたCO2を回収・精製して貯める(または別の場所で使う)か。議論の多くはこの二択を前提にしてきた。 そもそも一般的な電解装置は、精製・濃縮したCO2でなければ扱えない。

Helix Carbonは、高炉を置き換えずに「きれいにする」道を選ぶ。共同創業者のデビッド・ブラウンは「高炉に手をつけない鉄鋼の脱炭素は機能しない」と語る。 同社の電解装置は排ガスを精製せずにそのまま受け入れ、CO2から酸素原子を切り離して一酸化炭素(CO)に戻し、再び高炉の還元剤として使う。同社の試算では、コークスの33%を置き換えると鉄1トンあたり約14ドルの削減になる。利益率の薄い業界に、脱炭素を「追加コスト」ではなく「コスト削減」として提案している。

米マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点に、「電気化学で、重工業が自らの原料をコントロールできるようにする」ことを掲げるスタートアップ。 産業排ガス中のCO2を、工場の現地で一酸化炭素・エチレン・合成ガスなどの炭素原料に変える、低温で動作する電解装置を開発している。安価で安定した触媒を用いるのが特徴。対象は鉄鋼、非鉄金属、石油・ガス、化学など。最初の市場は特殊化学品で、CO2を回収せずに直接転換し、現地で化学品をつくることを目指す。

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