手数料ゼロのデジタルバンキングサービス
ラテンアメリカでは、少数の大手銀行が市場を握る寡占状態が続き、銀行口座を開くだけでも何か月もかかり、高い手数料を払うのが当たり前とされてきた。消費者向けの銀行業は規制に守られ、起業家には参入できない領域だと考えられていた。
Nubankは逆に、店舗を一切持たず、自社でゼロから開発したクラウド型の銀行システムとスマートフォンアプリだけでサービスを提供した。年会費無料のクレジットカードから始めて手続きの複雑さを取り除き、1億3,000万人以上が選ぶ金融サービスへと成長した。
Nubank(ヌーバンク)は、ブラジル・サンパウロを拠点に、ブラジル・メキシコ・コロンビアで銀行口座、クレジットカード、ローン、貯蓄などの金融サービスをスマートフォンアプリで提供するデジタルバンクである。2013年に創業し、最初の商品は年会費のかからない紫色のクレジットカードだった。審査結果は数分で通知され、カードは最短2日で届くという手軽さが、長い行列や大量の書類に慣れていたブラジルの人々に受け入れられた。 大きな特徴は、銀行の中核となるシステムを外部から買わず、クラウドを使って自社でゼロから構築したことである。データ科学や機械学習を重要な業務に組み込み、店舗を持たない効率的な運営で生まれた余裕を、手数料や金利の引き下げという形で顧客に還元する方針をとっている。社員の経歴の多様性も重視しており、哲学や化学、舞台芸術、映画制作、統計学など、さまざまな分野を学んだ人材が働いている。 2021年にはニューヨーク証券取引所に上場した。創業者たちの試算によれば、それまでに顧客が銀行の窓口やコールセンターで待つ時間を1億1,300万時間以上、支払う手数料を48億ドル以上節約させたという。2024年には顧客数が1億人を突破し、アジア以外のデジタルバンクとして初めてこの規模に到達した。現在は1億3,000万人以上が利用しており、2026年には米国をはじめ多くの国の利用者にもサービスを広げている。
StarTextで全文を読む →