植物工場によるいちごの周年生産
植物工場は天候に左右されず安定した生産ができる一方、技術的に栽培しやすいレタスなどの葉物野菜が中心になりやすく、味の差がつきにくいために価格競争に陥りがちだった。いちごのように味の違いが出やすい果物を、植物工場で安定的に大量生産するのは世界的に難しいとされてきた。
効率と安さを競う葉物野菜ではなく、あえて栽培の難しいいちごに的を絞り、植物工場の中にハチを放って自然に受粉させる技術を確立することで、圧倒的な「おいしさ」そのものを武器にした高付加価値のブランドをつくりあげた。
Oishii Farmは、天候や土地に左右されない屋内型の「植物工場」で、日本品種の高品質ないちごやトマトを生産し、消費者やレストランに届ける企業である。本社を置くアメリカ・ニュージャージー州を中心に、屋内で野菜や果物を育てる施設を運営し、無農薬・非遺伝子組み換えで、年間を通じて安定した品質の作物を生産している。 同社が最初の商品に選んだのが「いちご」である。植物工場での栽培は技術的に難しく、長年にわたり大規模な量産に成功した例がなかったが、Oishii Farmは工場の中にミツバチを放ち、自然な形で受粉させる独自の技術を確立し、世界で初めて安定的な量産を実現した。その後は、ミシュランの星付きレストランやアメリカの大手高級スーパーへと販路を広げ、日本のいちごの本来の味を武器にしたブランドを築いてきた。 2025年からは東京都羽村市に日本法人を置き、日本の農業技術と工業技術を掛け合わせた植物工場を、日本発の新しいグローバル産業に育てるという構想のもと、国内でも研究開発や生産体制の整備を進めている。異常気象や水不足、農地の減少といった世界的な農業の課題に対し、天候に左右されないサステナブルな生産方式で、圧倒的においしい野菜や果物を手頃な価格で届けることを目指している。
StarTextで全文を読む →