血液データとAIによる選手管理支援
プロスポーツの現場では、選手の疲労や体調不良は「なんとなく調子が悪い」「顔色が悪い」といった感覚的な観察や、故障してから初めて判明することが多く、けがや不調の兆候を早い段階で客観的につかむ手段は限られていた。
血液学(血液の研究)を専門とする研究者たちが、耳たぶからのわずかな採血で選手の体内の状態を数分で数値化する技術を開発。そこにAIによるデータ解析を組み合わせることで、感覚に頼っていたコンディション管理を、一人ひとりの選手に合わせた客観的なデータに基づく判断へと変えた。
Orrecoは、アイルランド・ゴールウェイに拠点を置く、血液バイオマーカーとAIを組み合わせてプロアスリートのコンディションを管理するスタートアップである。選手の耳たぶなどから採取したわずかな血液サンプルを分析し、疲労や炎症、栄養状態、免疫の働きといった体内の状態を、数分から数日で数値として示す。 このデータに加えて、GPSによる走行距離や心拍数などのトレーニング負荷データ、睡眠や主観的な体調に関するアンケートデータなど、複数の情報源を組み合わせて選手一人ひとりの「個人差」を考慮した基準値をつくり出す。同じ数値でも、選手によって意味するところが違うという発想に基づいている。 分析結果はコーチやチームドクター、トレーナー向けのダッシュボードと、選手自身が自分のデータを確認できるアプリの両方に届けられる。プレミアリーグやNBA、NFL、MLBなどのプロチーム、複数のオリンピック競技団体が導入しており、これまでに支援したオリンピックメダリストは45人を超える。 近年は、女性アスリート向けのサービスにも力を入れている。月経周期のデータを活用し、トレーニングや栄養、休養のタイミングを個々の周期に合わせて調整するサポートを行っており、サッカーの国際大会で結果を残したチームでも活用されている。
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