医学・工学・体育学

運動制御の科学を、解き明かす。

Prism Neuro

運動制御を測定するセンサー技術

アスリートがケガをするリスクや、リハビリを終えて練習・試合に復帰できるかどうかの判断は、これまでコーチや理学療法士の経験と勘、選手自身の申告といった主観的な情報に頼らざるを得ない部分が大きかった。脳と体のあいだの情報のやりとりを、客観的に測る手段は乏しかった。

スポーツ医学と宇宙医学の研究者たちが、視覚・平衡感覚・体性感覚という3つの神経経路の働きを、わずか数分の検査で測定できる技術を開発。目に見えなかった脳と体のコミュニケーションを数値化し、ケガのリスク評価や競技復帰の判断を、勘や経験だけに頼らないものへと変えた。

Prism Neuroは、オーストラリア・キャンベラを拠点に、人間の「運動制御(ムーブメントコントロール)」を測定する技術を開発するスタートアップである。運動制御とは、目や耳の奥にある平衡感覚器官、筋肉や関節の感覚などから届く情報を脳が処理し、体を思い通りに動かす仕組みのことを指す。 Prism Neuroの検査システムは、視覚(見えているものの情報)、前庭覚(体の傾きや回転を感じる感覚)、体性感覚(自分の手足がどこにあるかを感じる感覚)という3つの神経経路の働きを、専用の機器とVRを使って短時間で測定する。これにより、これまで目に見えなかった「脳と体のコミュニケーションの質」を、具体的な数値として示すことができる。 主な利用先はスポーツ、宇宙、健康、軍事の4分野である。スポーツの現場では、選手の才能発掘やケガのリスク評価、リハビリ後に競技へ戻れるかどうかの判断材料として使われている。オーストラリア代表クラスのラグビーやクリケット、ホッケーなどのチームで導入例がある。宇宙分野では、無重力状態に長くさらされた宇宙飛行士の運動制御機能がどう変化するかを調べる研究に応用されている。 Prism Neuroの拠点は、オーストラリア国立スポーツ研究所(AIS)のキャンパス内にある。研究者、エンジニア、ソフトウェア開発者からなるチームが、脳科学の知見を「わかりやすく、すぐに使えるデータ」に変えることを目指し、開発を続けている。

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