理学・工学

肉食を選ぶ人が、あえて選びたくなる新しい肉を。

Vow(ヴァウ)

培養肉の開発・製造

肉はおいしいが、家畜を育てるには広大な土地や資源が必要で、地球環境への負荷を考えると生産量には限界があると考えられてきた。培養肉についても、まずは牛肉や鶏肉といった既存の肉を再現することが目標とされてきた。

既存の肉を再現するのではなく、カンガルーやウズラなど、これまで大量生産されてこなかった動物の細胞を培養することで、誰も食べたことのない新しい『肉』というカテゴリーそのものを生み出す方向に転換した。

Vowは、動物を育てて出荷するのではなく、動物の細胞を培養することで肉をつくるオーストラリアの企業である。まず動物の体からごく少量の組織を採り、そのなかから最も良い性質を持つ細胞を選び出す。次に、その細胞を大きなタンク(バイオリアクター)の中で培養し、必要な量まで増やす。最後に、増やした細胞を加工して、これまで存在しなかった新しい食品として仕上げる。 Vowが他の培養肉企業と異なるのは、牛肉や鶏肉といった、すでに味の基準が決まっている肉を再現しようとしていない点である。同社は「ノアの箱舟」と呼ぶ細胞のライブラリーを築き、カンガルーやアルパカ、水牛、日本産のウズラなど、これまで大量生産の対象になってこなかった動物の細胞を集めている。既存の肉と比べられる土台がないからこそ、味や栄養、食感そのものを自由に設計できるという考え方に基づいている。 現在は、独自に構築した食品グレードの製造プラットフォームを使い、シドニーの工場でウズラの細胞から「Forged」ブランドの製品(パテやフォアグラ風の食品、脂など)を製造している。シンガポールや香港での販売に加えて、2025年にはオーストラリアとニュージーランドの食品規格当局が培養ウズラ肉を新規食品として承認したことを受け、両国内でも消費者向けの直接販売を始めている。

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