理学・農学

野生植物の進化を手がかりに、変わりゆく地球のための種子を進化させる。

Wild Bioscience Ltd(Wild Bio)

野生植物由来の作物品種改良

小麦やトウモロコシなど主要な農作物は、何千年もかけて人が選び育ててきた末の姿であり、その遺伝的な性質はほぼ固まっていて、大きく変えるには長い年月をかけた品種改良か、外から新しい遺伝子を持ち込むしかないと考えられてきた。

作物の外に解決策を探すのではなく、何百万年もの進化を生き抜いてきた野生植物の中に、乾燥や高温に耐えるための遺伝的な仕組みがすでに眠っていることに着目し、AIでその眠っている性質を見つけ出し、ゲノム編集でピンポイントに呼び覚ますことで、作物自身の潜在能力を引き出す方法へと転換した。

Wild Bioscience(Wild Bio)は、イギリス・オックスフォード大学発のバイオテクノロジー企業で、野生の植物が進化の過程で身につけてきた性質を手がかりに、小麦やトウモロコシなど主要な農作物をより丈夫で高収量な品種へと改良することを目指している。 同社の手法は、何百万年もの間、乾燥や高温といった環境ストレスと向き合ってきた野生植物の遺伝情報を、AIを使って解析することから始まる。栽培作物にはない、あるいは眠ったままになっている有用な性質を野生種の中から見つけ出し、ゲノム編集の技術を使って、その性質を作物の中でピンポイントに働かせる。たとえば、光合成にかかわる細胞のはたらきを制御する仕組みに小さな変更を加えることで、成長や種子の生産性を高める実験に取り組んできた。 2026年には、イギリスの独立系小麦育種会社F1シードを買収し、AIによる性質の発見からゲノム編集、そして実際の品種開発・販売までを一貫して手がける、イギリスで初めての独立系精密育種企業となった。長年停滞してきたイギリスの小麦の収量を、気候変動が進むなかでどう引き上げるかという課題に取り組んでいる。

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