布に電子回路を組み込むe-skin技術
人の動きや心拍、呼吸といった体の状態をセンサーで計測しようとすると、これまでは専用の医療機器を体に取り付けたり、伸び縮みに弱い電子回路が壊れやすかったりと、日常生活の中で「着けたまま普通に暮らす」ことは難しいとされてきた。センサーを身につけることと、快適に過ごすことは両立しにくいものだった。
大手フィルムメーカーで新規事業に携わってきた研究者が、東京大学の伸縮性エレクトロニクス研究をもとに、普通の服と変わらない着心地で1万回以上伸縮させても壊れず、洗濯もできる「布状の電子回路」を実用化。センサーを身につけることを、特別な医療行為ではなく、いつもの服を着ることに変えた。
Xenoma(ゼノマ)は、東京都大田区を拠点に、次世代スマートアパレル「e-skin(イースキン)」を開発するスタートアップである。伸縮性のある生地に、導電性の配線とひずみセンサー、温度・心拍センサーなどを縫い込むことで、普通の衣服と変わらない着心地のまま、体の動きやバイタルデータを計測できるようにしている。 コア技術は、電子回路の基盤であるPCB(プリント基板)を布状にした独自技術「PCF(Printed Circuit Fabric)」だ。50%のひずみで1万回以上伸縮させても壊れず、洗濯機で100回以上洗っても機能を保つ耐久性を実現している。 この技術をもとに、高齢者の見守り用スマートパジャマ「e-skin Sleep & Lounge」、ケーブルを使わずに全身へ電気刺激を届けるトレーニングスーツ「e-skin EMStyle」、カメラを使わずに自然な動きを計測できるモーションキャプチャースーツ「e-skin MEVA」、歩き方から高齢者の虚弱(フレイル)度を調べる「e-skin LETS WALK」、赤ちゃんの見守り用ウェア「e-skin Coo」、自宅で心電図を測定できる「e-skin ECG」など、幅広い製品を展開している。 2022年からは、患者自身が自宅で装着し、郵送するだけで検査を受けられる3誘導ホルター心電計サービスも開始した。専門知識がなくても「着るだけ」で正確な検査ができるという特徴を生かし、循環器疾患をはじめとする病気の予防に貢献することを目指している。
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