家庭向けコミュニケーションロボットの開発
ロボットといえば、工場のライン作業や災害現場の調査など、決められた仕事を正確にこなす産業用ロボットが主流とされてきた。家庭の中で使われるロボットは、まだ一部の技術者や愛好家が楽しむ特別な存在で、日常生活に自然に溶け込むものにはなりにくいと考えられていた。
性能や作業効率を追い求める産業用ロボットとは逆に、そばにいるだけで気持ちが動く「愛着」を軸にロボットを設計することで、家族の一員のように暮らしに溶け込むコミュニケーションロボットという新しいジャンルを切り開いた。
ユカイ工学株式会社は、家庭や日常生活の中で使われるコミュニケーションロボットやIoTプロダクトを企画・開発するロボティクスベンチャーである。人の行動をきっかけに反応する「気配」を持ったロボットこそ、スマートフォンの次に人の心を動かすインターフェースになるという考えのもと、音声認識や無線通信などの技術と、愛着を感じさせるデザインを組み合わせた製品づくりを続けている。 自社プロダクトの代表例が、家族をつなぐコミュニケーションロボット「BOCCO」「BOCCO emo」である。子どもや高齢者が一人で過ごす時間に音声メッセージをやり取りしたり、外出先からドアの開閉を確認できたりする機能を備え、東京ガスなど外部企業とも連携しながら、見守りや子育て支援のサービスとして展開されている。しっぽのついたクッション型セラピーロボット「Qoobo」や、やみつきになる感触のロボット「甘噛みハムハム」、小さなちら見ロボット「mirumi」など、機能よりも「そばにいる心地よさ」を重視したプロダクトも次々に生み出してきた。 事業のもう一つの柱が、企業からの受託による製品・サービス開発である。自社で培ったハードウェアとソフトウェアの開発ノウハウをもとに、他社が持つ企画やアイデアを、プロトタイプ制作から量産、クラウドファンディングの支援まで一気通貫でかたちにしている。教育向けのロボット制作キット「kurikit」の展開など、次世代の作り手を育てる取り組みも進めながら、「一家に一台ロボットのいる社会」の実現を目指している。
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